藍染哀悼
徳島早売り週刊少年ジャンプ43号の『BLEACH』を読んでのもの。
ネタバレあり。
タイトルからしてネタバレだが……。そこまでは気にしないでおく。
藍染惣右介。
主人公やら脇役一同を全滅させてくれそうな感じの*1素敵陰険メガネだった彼は、その輝きを維持できず、強いだけの三下ボスに、ひたすら成り下がっていき*2、主人公のがっかりパワーアップ*3の前に敗れ去った*4。
彼の最後の台詞。
それは敗者の理論だ!!
勝者とは常に世界がどういうものかでは無くどう在るべきかについて語らなければならない!!!!
この理論も敗者の、もしくはまだ勝者になり得ていないものの台詞だよ……。
藍染が目指したのは究極の勝者、絶対者だったと思うのだけれども、そんな勝者は世界を恣《ほしいまま》*5にできるから「世界かく在るべき」なんて言うまえに世界を変えてしまえる。
「最初から誰も天に立ってなどいない」*6という台詞あたりから考えて、藍染自身、頂点にのぼりつめんとする挑戦者だったわけだけど、挑戦者の理論を、勝者の理論として口に出しちゃったのは、もうホントに地に墜ちたな、と思う。散り際の台詞も見苦しい。勝利への渇望が伺えるようなものじゃなくて、自分を勝者と勘違いしての台詞ってのは……。
なんのかんのと藍染惣右介は好きだったので、いや……、作者の能力の限界や、作品の引き延ばしのために、小物化せざるを得なかった、哀れなボスキャラとして、きっとこれからも好きだと思う。
にしても、自分の趣味とは合わないタイプの中二病作品*7なわけだけど、俺『BLEACH』好きなんだな、と思うよ。
ねじれた「好き」、だけど。
さて……新しい展開でどういう理屈をこじつけて一護が力を取り戻すのか、次にボスキャラとして出てくるやつが終盤どれだけ小物化するのか、タノシミに読んでみたいと思う。