できの悪い嘘

年を取ると嘘を楽しみにくくなるね……。
自分が好きなのはメインターゲットが中高生あたり向けの物語なんだけど、その手の作品では中高生が主人公になったりする。それ自体は別に問題ない。
これといった取り柄もない普通の少年少女が主人公でありながら、神のごとき存在の戦いに巻き込まれたりする。
きつい。
戦いに巻き込まれることがじゃなくて、その少年少女が活躍することが。
少女だと、まだ、少女自身は戦わなくていいお話が多く、少女のために戦う戦闘のプロが頑張ったりするから、そんなに話がおかしくならないんだけど、少年が主人公の話だと、まず、少年は頑張らないとならない。主人公とともに優れた戦士が戦ってくれたりする場合(多くはヒロイン)でも、主人公は、なにがしか、その戦士を助けないといけない。
とりたてて取り柄もない、戦闘の経験も無い少年が、どうやって?
あるていど、かけひきではめて勝てる相手なら、納得いくのだけれども、駆け引きが通用する能力差というのもある。
敵となるものの設定が人間とかけ離れた力をもった存在となればなるほど、少年の活躍からうそくささを消しがたくなる。赤ん坊がどれほどの策謀を張り巡らしても、力あふれる大人には勝てない。それがなぜか買ってしまう。絵空事とはいえ、そりゃないだろう?って展開が多くなる。
未熟な少年が熟練の戦士たちにかなうはずもなく、機転を利かしての勝利も、少年が優れているよりも、熟練のはずの戦士がの間抜けなだけに見える。
未熟な主人公がありえない活躍をする、別の言い方をすれば劇中の多くが未熟な主人公に奉仕する物語は、その物語の登場人物を、すべて、少年と同じ無能に引きずり落とす。
登場人物の説明でどれだけその偉大さを書き連ねられようとも、矮小な存在にしか見えなくなる*1
そういうの最近はつらくなった。
メインターゲットにあわせた主人公の年齢設定だのしないといけないだろうとは思うけど……。

*1:たまに、外伝などで未熟な登場人物が大きな活躍をしないですむことになると、がぜん嘘くささが失せて、納得がいく話になる。