『BAMBOO BLADE』最終回

BAMBOO BLADE』最終回感想。ネタバレあるので、コミック派の人はご注意を。
タマキとウラの最後の試合は、タマキとウラの二人の、剣士としての、一個の人としての未来が広がっていくことを想像させる終わり方だった。
その点はすごく良かった。
ただ、コジロー先生についてはいろいろ思うところあり。
コジロー先生、きちんとした大人になるために、あたらしい一歩を踏み出すために、職を辞す決意をするわけだが……。
それってどうなの?と思う。
以前、部活は顧問しだいといったことを言っていた気がするのだけど(部活に限らず指導者は大事だと思うけどね)、後任者がコジロー先生よりきちんと室江高剣道部の面々を指導できるのか、室江高剣道部の気風を維持できるのだろうか? そんなことを思う。
室江高剣道部の気風はタマキの存在が大きいとはいえ、コジロー先生がいたことでできあがっていた部分もあるわけで、後任者がそれをだいなしにしちゃわないかとか、心配じゃないのだろうか?
ダメな自分を自覚するのはいいけど、自己評価を低くしすぎるのは、それもまたダメな大人じゃないのかな?
コジロー先生、初期はホントに自分の欲望に忠実なダメ人間だけど(あれはあれで、あのだめっぷりにいらつきつつも、なんつーか親近感を感じて良かったけどね)、どんどん変わっていった。生徒たちのことをきちんと考えるようになった。けれども、最後の方は川添珠姫という巨大な才能が放つ大きな輝きに屈し、自分を卑下しすぎているように見えてしまった。
まあ、はじめて「自分にとって剣道とは何か?」を考え、問いを発したタマキから逃げたりしているので、コジロー先生はいったんタマキから離れて確固たる自分を手に入れる努力をする方がいいのかもしれないけれども……。
いろいろなことが頭のなかに浮かび、なかなかすっと飲み込めないものではあるけれども、不器用にあがきはじめたコジロー先生のはじまりとしては、あの選択しかなかったのかもしれない。
残された部員たちは寂しいだろうけれども、コジロー先生と部員たちの間にできた絆が絶たれてしまうわけでもない。
室江高剣道部のなかには生涯剣道を続けそうな部員もいるから、いつか、どこかで道が交わることもあるだろう。
コジロー先生みたいに指導者になる子もいるかもしれない(タマキは自分のところの剣道場継ぎそう)。
そういう話が描かれることがあるかどうかはわからないけど、読めたら嬉しい。
最終回のコジロー先生の選択にぐだぐだと書いたけれども、総じて『BAMBOO BLADE』という物語は面白かった。
なんかおまけの4コマとかつくといいなあなどと思いつつ、最終14巻を待ちたい。